夏休みの間に、勤め先の地域の小学生にちょっとした授業をする機会がありました。私はカナリアのヒナの話、つまり小鳥の生命の誕生をし、ヒナの動画などを見せました。同僚の先生は、ペットの死を題材に死生観について小学生にもわかりやすく話したとのこと、つまり、偶然ですが二人で生命の誕生と終焉を扱ったのです。
その後、ご一緒に聞いて下さった保護者のかたの感想を読ませていただいて、こんなご意見が印象に残りました。「死ぬのがかわいそうだからペットを飼わなかったが、死を経験させるのも大事なのだとわかった」。
動物は死ぬから飼わない、と仰る方、たしかにいらっしゃいます。それを否定することは出来ませんが、死ぬのは動物やペットだけではなく、生きる者はすべていつか死を迎えます。祖父や祖母、父親や母親、知人や友人も、そして自分自身も。だから、死について考えることは、生について考えることでもあります。

小さいペットの多くは、人間よりも短い寿命しかありません。ですから、ほとんどの場合、小さいペットを飼うということは、その生き物の全人(?)生を見届けることになります。生まれて、青春を謳歌して、年を取って、生を終える。その個体史から、飼い主が学ぶことは計り知れません。それは、「家族」とか「癒やし」とかいう決まり切った安易な言葉ではとても片付かない貴重な体験だと思うのです。